《MUMEI》

「無くさないでくれよ? 少しは高かったんだからな」

「ぉ、ぉぅ」

「填めてあげようか」

「ぃ‥いーよ、自分で‥」

「貸してごらん」

「──ん」

指輪を渡すと

静瑠はアタシの指にそれをはめてくれた。

「ゎ‥」

「どうだい?」

「うん、いーかも。あんがとな」

何か嬉しい。

指輪なんて付けたの

初めてだ──。

「‥ぁ、空──」

「?」

「綺麗じゃね?」

「ぁぁ、本当だ」

静瑠は

何だか眩しそうにしてる。

「また──いい思い出が出来たな」

「──だな」

ちょっと空回りしたりもしたけど──

楽しかったからいいか。

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