《MUMEI》

「珠季」

「?」

「そろそろ降りないと──もう1周乗らなきゃならなくなるぞ」

「ぇ、ぁ‥ぁぁ」

そっか‥

降りなきゃなんだったよな‥。

‥でも‥。

「飛び下りんのか‥?」

「当たり前じゃ無いか、観覧車は止まってくれない」

「ぇ、そ‥そーだけど‥」

すっかり忘れてた。

アタシ──

こっから降りるのが

めちゃめちゃ苦手だって事‥。

「どうした‥?」

「‥ど、どうって‥、ぉ、おいッ!?」

アタシは

静瑠に姫抱きにされて地面に降りた。

「ォ、オマエ‥」

「? 顔が赤いぞ」

「なッ‥誰のせいだよ‥」

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