《MUMEI》 ケルベロスと転校生春が来た。 やわらかな風が吹く。亜柚乃(あゆの)はそっと、髪をかきあげた。 広い校庭には、朝早いせいか亜柚乃以外、だれもいない。 亜柚乃は、ゆっくりとそこをよこぎっていく。花の香りがした。 校庭の隅、管理人室のうらに、それは住んでいる。 「ケルベロス!」 亜柚乃の優しい声に、彼は勢いよく顔を上げた。 前へ |次へ |
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