《MUMEI》
天然?
(機嫌悪っ…)


俺と志貴は何も言えなくなってしまった。


「あ、私。何か買ってくる」


(逃げたな…)


志貴は、屋台に向かって走っていった。


(今は、踊りも休憩中だし…)


逃げ場を無くした俺は、不機嫌な守を前に、困っていた。


「兄様!」


そこに、登場したのは吉野だった。


「撫子ォ〜」

「「えっ!?」」


(お、おいおい…)


俺と吉野は、守の行動に唖然とした。


「あー、癒される…」


守は呑気にそう言って


吉野を抱き締めて、いるのだ。


「お、おい、守?」


(まさか…)


「何? 祐也」

「お前、いつもそんな事、してんの、か?」

「そんな事?」

「だから、吉野を…」

「あぁ。最近ご無沙汰だけど、昔はよくやったよ。な?撫子…?
どうした? 顔、赤いぞ?」





「どこまで鈍感なんだ! それとも何か? お前はあれか? 天然タラシか!?」

「…は?」


守は、ポカンと口を開けた。


それでも、守は吉野を抱き締めたままだった。


「何? とうとう付き合い始めたの?」


そこに、志貴が戻ってきた。

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