《MUMEI》
料理好きなんです
風呂から上がった俺は、遅めの昼食をとるためキッチンへ向かった。
「あら、今日は珍しく遅いわね。」
リビングのソファでテレビを見ていた母親が声をかけてきた。
この二つの部屋は繋がっている。

「お母さん達、もう昼食済ませちゃったから適当に冷蔵庫のもの食べてね。」
「あぁ、分かってる。」
俺はそう言うと冷蔵庫を開けた。
「えっと…お!卵あんじゃん。丁度ケチャップもあるし、オムライス作ろ。」
「また面倒なもん作るわね。」
「料理は俺の生き甲斐だ」「そうね。今時の子にしちゃ珍しいわよね、あんた」
そう、俺の唯一の趣味は料理。確かに今時の高校生にしちゃ珍しい趣味かもな。
気分上々で料理に取り組む。夢精してしまった事なんてスッカリ頭の中から消えていた。

「で〜きた!」
我ながら上出来。店出せんじゃん?なんて、それは言い過ぎか。
自我自賛のオムライスはかなり美味しく、あっという間に俺の腹に消えた。

後片付けをして部屋に戻ると、また気が萎えてきた。
今日の7時か…行きたくねぇ。
時計の針は3時を指している。後4時間か。取りあえず身嗜みは整えなきゃな…俺のイメージってのもあるし。
でも地味な格好にしよう。女受けしなさそうなやつ…
クローゼットを開けて服を選ぶ事にした。

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