《MUMEI》
龍さん動揺中
「知り合い?」


志貴の質問に


「いい…」

「うん」


否定しようしようとした龍さんの言葉を遮って、志穂さんが頷いた。


(多分、志穂さんが正しいよな)


龍さんは、明らかに動揺していた。


「お互い見た目、変わりましたよね」

「で、デス、よね…」


ハハハ、と乾いた笑いをする龍さん。


(志穂さんは昔太ってたんだよな)


お互い、と言うからには、龍さんもそうなんだろうか。


「じゃ、じゃあ、俺は、この辺で…」

「あ、兄貴! 何して」

「バカヤロー!今呼ぶんじよねーよ!」

「あ、若…」

「あー バカー!!」


(兄貴? 若?)


俺は、わけがわからなかったが…


「まさか…ヤクザ?」


志貴がポツリと呟いた。


(…ヤクザって何だ?)


訊いたらまた無知だと思われそうだから、俺は首を傾げるだけにした。


「大丈夫」


そんな中、志穂さんだけが何もかも知っているように、余裕で笑っていた。


「何が」×3


俺・志貴・龍さんは同時に志穂さんを見つめた。


「龍さん達は、私達、一般人を傷付けないから。そうでしょう?」

「おっしゃる通りです…」

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