《MUMEI》

「‥美味いかは‥分かんねーけど」

「心配せんかて大丈夫や」

「‥ぇ?」

「それよりも、はよ綾瀬に渡したり」

「‥ぁ、ぁぁ」

分かってるけど‥。

「また何か──すれ違うてもうてるみたいやな」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「心配いらんよ。霖堂の手作りチョコ──綾瀬が喜ばんはずがあらへん」

「そう思うか‥?」

訊いたら──

宮上は大きく頷いた。

「俺はそう思うで」

「──そっか、あんがとな」

何ビビってんだろ

アタシ──。

「よしっ」

渡しに行こう。

「じゃあ、またな、宮上」

「おう、頑張ってな」

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