《MUMEI》

煙草片手に中年の男性が出て来た。
うろうろしていたから注意しにきたのかもしれない。


逃げようとしたけどばっちり目が合った。
逃げられない……!


「――――――君」

眉間にシワを寄せながら近付いてくる。


「う、卜部さんのお宅ですよね……」

表札に書いてあるんだからそうだろう。
馬鹿だ……自分で墓穴掘ってる。






「多紀の友達か?」

タキ……?

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