《MUMEI》

「ふぅ──」

何だか、自分の家にいるみたいに落ち着く。

「お代わりを如何ですか」

「うん」

そう答えると、コウキさんはまた、ティーカップに紅茶を注いでくれた。

ソーサーから持ち上げようとして、

「‥ぁ」

ふと、ティーカップの柄に目が向いた。

「この柄──」

「お嬢様の雰囲気に、ぴったりかと」

「ぇ、私‥の‥?」

ただ空いてる物を選んだんじゃなかったんだ‥。

「ありがとう」

「──良かったです」

「ぇ」

「お嬢様が、お元気になられて──」

「───────」

嬉しい。

──凄く。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫