《MUMEI》

コウキさんは、沢山のメニューの中から──

「こちらなど如何でしょう」

ガナッシュケーキを薦めてくれた。

「じゃあ、それでお願いします」

「畏まりました」

「───────」

丁寧な言葉遣いや身のこなしに、思わず見とれてしまう。

本当の執事みたい。

それに、私──何だか本当にお嬢様になった気分。

──楽しい。

ずっとこのままでいたいな──。

「お待たせ致しました」

「──ぁ」

目の前には、ガナッシュケーキ。

「わぁ‥」

これも美味しそう──。

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