《MUMEI》

***

「コウキ」

「? ヒカル──」

「どうだった? お嬢様は」

「ぁぁ──お元気になられたようだよ」

「そうか、良かったな」

「ぁぁ──」

本当に。

「さて‥、仕事に戻らないと」

「なぁ」

「‥?」

「今度は、僕の出番だな」

「ぁぁ、頑張れよ」

そう言ったら、ヒカルは、任せろと言わんばかりに、ニッと笑った。

新たなカップを棚から出しながら、僕は──お嬢様はいつお帰りになられるだろう、と考えていた。

お帰りになられたら、またお話を聞いて差し上げよう、そう思いながら──。

***

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫