《MUMEI》

その日から、右も左も解らない家で、見ず知らずの老婆の相手をする日常が始まった………。



加奈子は、少女のような口調の老婆が不気味に思え、怖くて泣いた………。



老婆も加奈子が何故泣いているのか理解できずに泣いた………。



老婆の家族は、ちゃんと"仕事"をしろと、加奈子に怒鳴った………。



幼かった加奈子は、老婆を泣かせると怒鳴られると理解した………。



その日から加奈子は、老婆を泣かせないよう振る舞った………。



日の当たらない陰気な部屋で、来る日も来る日も同じ話を繰り返す老婆の機嫌を取った………。



折り紙、お手玉、あや取り、おはじき………



そして花カルタ(花札)……。



老婆と二人きりで、昔の玩具で遊び続ける日々が続いた………。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫