《MUMEI》

ブラウニーと、ミルクティー。

それと、ヒカルさんの笑顔。

「どうぞ、お召し上がり下さい」

ヒカルさんは、瑠璃色のティーカップに温かいミルクティーを注いでくれた。

「───────」

ティーカップを持ち上げて──ひと口含んでみる。

「美味しい‥」

ミルクティーを、こんなに美味しいと思ったのは初めてだった。

──心まで、温かくなるみたい。

「──ぁ」

そういえば。

「このティーカップ、綺麗な色ですね」

「お嬢様のお好きな色ですよね」

「──ぇ」

何でこの人──私の好きな色を知っているんだろう?

初対面なのに──。

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