《MUMEI》 「お嬢様?」 「──ぇ」 ぁ、そっか‥。 私──ボーッとしてたんだ。 「瑠璃色は──お嬢様によくお似合いです」 「そ、そう‥?」 私が生まれたのは、夜だった。 母は、窓から見えた小さな夜空から、私の名前を思い付いたらしい。 だから、小夜──そう名付けられた。 そのせいか、夜に似た瑠璃色が好き。 この人は──ヒカルさんは、まるでそれを知っているかのよう。 「あの‥」 「如何なされました?」 「行き詰まった時って‥どうしたらいいのかな、って──」 前へ |次へ |
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