《MUMEI》

今まで、色んなカフェに行ってみたけど──こんなに美味しいケーキは初めて。

ミルクティーも、まるで私の好みが分かっているみたいに、丁度いい甘さ。

「───────」

不思議。

初めて来た場所なのに──初めて会った人なのに──‥何だか懐かしい気持ちがする。

まるで、生まれた時から、ここに住んでいるみたいに。

本当に不思議──。

「お嬢様、貴女様にもう1品──ご用意してございます」

「ぇ?」

私は、ティーカップを下ろしかけていた手を止めて、訊き返した。

「もう1品──ですか?」

「はい。是非ともお召し上がり頂きたいのです」

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