《MUMEI》
サブライズパーティーかよ
電車は停まる事なく、俺を無事いつもの駅に届けた。時計を見ると6時55分。後5分で約束の時間になる。
ヤバっ。遅刻だ…
嫌々だが走る事にした。
理由はどうであれ、人を待たすのはよくない。
駅からカラオケボックスまで北に歩いて15分の距離。走ってギリキリ間に合ったが、やはりもうメンバーは揃っている様だった。
「おっせぇぞ!沢村!」
着くなり寺田に小突かれた。
「はぁはぁ…ごめん!」
久しぶりに全力疾走したからかなり息が切れていた。「まぁイイじゃん。走って来たんだし。」
寺田の陰に隠れて見えなかったのか、ヒョッコリと竜崎が現れた。
「…何で竜崎がいんの?」急な登場に一瞬身体が硬直する。今朝の事が頭によぎって体温が上がる。
「おれ居ちゃマズい?」
「い、いや…別に…。」 捨て猫みたいな表情で俺を見上げる竜崎に、つい口ごもってしまう。
「オレが呼んだの。女の子3人になったから、コッチも一人追加したんだ。」
つまり3対3の合コンってわけね…
「はじめましてぇ〜。」
女三人の内一人が俺に声をかけて来た。今風のギャルって感じの子だ。
「はじめまして。」
一応笑顔で対応するが、内心嫌気がさしている。
いかにも馬鹿っぽいし。
他の二人も同じ部類だ。
「どうよ、今日の子可愛いだろ?」
部屋に行く途中寺田がヒソヒソ声で話し掛けてきた。「軽そうだけどね。」
興味がないことをあからさまに表した。
「そこがいいんじゃん!すぐヤラせてくれるぜ?」
またあのニヤニヤ笑いで俺の肩を叩いてきた。
ハァ…コイツの女癖の悪さはピカイチだな。
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