《MUMEI》

ここ、まだかなり新しいお店みたいだけど──‥何で表の看板に『執事喫茶』って書いてなかったんだろう。

それにしても、ここの人達──みんな、本物の執事みたい。

お店の雰囲気も、喫茶店っていうより──お邸な感じ。

──眩しい。

それに、ちょっとドキドキする。

お嬢様って──こんな気分なのかな。

「──お待たせ致しました、お嬢様♪」

澄んだ、軟らかい声がして、お皿とカップがあたしの前に置かれた。

苺のケーキと、カプチーノ。

「──ゎ‥」

思わず、目を見張った。

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