《MUMEI》

レオは、すぐにまた戻って来て、カプチーノの入ったカップをあたしの目の前に置いてくれた。

「どうぞ♪」

レオは、私がカプチーノを飲むのを、トレイを脇に抱えたまま、目を細めて見つめてる。

あたしは、ちょっと恥ずかしくなって俯いた。

「───────」

すると、スッと手が伸びて来て、私の髪に触れた。

「ぇ、あの‥」

「綺麗な髪が濡れてしまっては大変ですから♪」

「──ぁ‥」

カップに髪が入らないように、持ち上げてくれたんだ──。

「ありがとう」

「当然の事をしたまでですから♪」

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