《MUMEI》
唯一の三人部屋
そして、俺はといえば…


(く、空気が重い…)


残りの二人


屋代さんと、秀さんと


唯一の、三人部屋だった。


もっとも、ここも元は二人部屋だったらしく


一番窓際にあるベッドは、新しい感じがした。


「よろしくお願いします」

「「あぁ、よろしく」」


一番最後に入ってきた俺が挨拶すると、二人も返してくれた。


…が


「…チッ」


屋代さんとハモったのが不快だったらしく、秀さんはあからさまに舌打ちをした。


ちなみに、今


窓際のベッドの上に、秀さん


入口側のベッドの上に屋代さんが座っていた。


(つまり…)


「俺…真ん中、ですか?」

「あぁ」

「…うん」


今度は屋代さんが気を遣って、意図的に返事を遅らせた。


(う〜わ〜! 最悪!)


この環境で寝ると思うと、軽くめまいがした。


すると


「安心していいよ、田中君」


秀さんは、サングラスを外し、俺にだけ笑顔で話しかけた。


そしてそのまま、完全に屋代さんを無視した状態で話を続けた。

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