《MUMEI》
愛は会社を救う(21)
「今日ファイルの整理が始められたのも、藍沢さんのおかげです。どの資料が重複しているのか、新参者の私には区別がつかなかったんですから」
それを聞いた由香里は、素直に嬉しそうな笑みを浮かべつつ、首を横に振った。
「あなたは、貸し借りの感情無く、知っていることを私に説明してくれました。そういう人がいると、仕事はとてもスムーズに進みます」
「でも、私なんか、まだまだ仕事の知識がなくて」
自信が無いのか、由香里が表情を曇らせる。
だが私の中には、すでに1つのプランが出来上がっていた。
「トランプの七並べでは、6と8を握られたら、誰も次の札を出せない」
一気にそこまで言うと、私はぐっと2杯目のカクテルを飲み干した。由香里は不思議そうに首を傾げて、こちらを見つめている。
「今それを握っているのは山下さんだ。私がそのカードを見つけ出して、あなたに差し上げましょう」
「でも、そんなこと…」
「あなたは、山下さんの代わりになれる」

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