《MUMEI》

2杯目のカプチーノを飲み終わって、あたしは空になったカップを見つめてぼんやりしてた。

「お下げして宜しいでしょうか?」

「ぁ、はい──」

答えて、あたしはふと、腕時計を見た。

いけない‥

そろそろ帰らなくちゃ。

そう思って席を立とうとしたら、

「ゎ‥っ」

椅子が、グラリと傾いた。

「──大丈夫ですか、お嬢様?」

レオが咄嗟に、椅子を支えてくれたお陰で、私は転ばずにすんだ。

「ありがとう──」

「ご無事で何よりです♪」

レオはそう言って、私に手を差し延べた。

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