《MUMEI》
新しき物質
 
 西暦2015年 春 
懸念されていた地球温暖化のペースは各国の努力の甲斐もなく着実にそのグラフを押し上げていた。 

アメリカ合衆国 アリゾナ州 MP財団原子物理学研究所内(金属合成研究室) 

まるで真っ白な大理石のように磨きこまれた傷ひとつない廊下を 研究員の栄一が何やら思い詰めた様子で急ぎ足で歩いていく…今、外から来たばかりなのかその額には小さな透明ビーズのような汗がびっしりとへばり着いていた。 

栄一 「 ふぅ〜 暑い…それにしても…… 異常だな……ここの気温も……あの隕石も…… 」 

栄一はパスワードの付いたドアを二つくぐり抜けるとやはり頑固なくらい厳重にパスワードの付いたロッカールーム室の扉を開けた。
灯りをつけると栄一はその汗に濡れたTシャツを掻い潜るように脱ぎながら大きな透明ケースに掛けられていた銀色に輝くメタルな服を取り出した。
ソレはいかにも重たそうな…そう・まるでよく見るB級SF映画にでも出てきそうな代物…大きなヘルメットの付いたまるで宇宙服その物だった 。 

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