《MUMEI》
羽毛
ずっと前にお父さんが言ってた。
いい子にしていれば天使様が幸せを運んでくれるんだ。

「……鳥さんは天使様にあったことある?」


「……無い」


「いい子じゃなかったの?」

鳥さんなら何か知っていると思ったんだけどな。


「……いい子は背中に何も無い。」

背中には綺麗な羽を広げた鳥が描かれている。
たくさん体に傷があって、背中も包帯で隠れているから残念だと思った。


「いい子の背中に何も無いなら僕も悪い子だよ。同じだね。」

それに、鳥さんの背中の方が綺麗だ。


「……馬鹿だなあ、お前は」

そう言って笑う鳥さんの顔は実はお父さんに似てる。

これは、秘密にしておこう。

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