《MUMEI》

「お待たせ致しました」

「‥ぁ、はい」

目の前で注がれる紅茶を見つめながら、ふと思う。

こんな風に、紅茶を淹れてもらうのは初めてだな、って。

「──どうぞ」

「ぁ‥、ありがとうございます」

何だか‥凄くドキドキする。

「‥‥‥‥‥‥‥」

そうだ、お砂糖‥。

そう思って、角砂糖の入ったシュガーポットに手を伸ばしかけた時、

「お取り致しますよ」

スバルさんが、そう言って私に笑いかけた。

「お幾つ、お入れ致しましょう」

「えっと‥、3つ──」

「畏まりました」

スバルさんは、角砂糖を3つ、紅茶に入れてくれた。

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