《MUMEI》

そんな部室の扉に人の気配。
「うわ、何!びっくりした
。真央か、」
なづきは視線に気付いて振り向いた。
彼女の数少ないクラスメート兼友人の梅田真央が扉半分から顔を覗かせて様子を伺っていた。

「かえらないー?なづー」
なづきは顔を半分出したまま言う。
真央は美術室の真横の書道室で気が向いたら書道部員になる。
書道部顧問と仲が良かった為に無理矢理勧誘された。
おそらくなづきより部活動をしていない。

「帰る!」
なづきはこれ以上間が持ちそうになかったので、救われた思いで鞄を担いだ。

「アレ、帰るの。」
ルナはそう言いつつなづきより早く支度を整えた。

「アンタこそ。」

「一人で居てもつまらないもん。」

「私といてもつまらないじゃない。」

「そうなの?」
ルナは少し笑みの表情になった。何かいいことがあったようだ。
「自分はそれなりに愉しいけど。」

「わひゃー!」
廊下で真央が叫んだ。
こっちを見ていた。話しを聞いていたようである。

前へ |次へ

作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ

携帯小説の
(C)無銘文庫