《MUMEI》 中東カタール ホテル「ムスカザール」 午後二時 ロビーでアラビアンコーヒーを飲みながら足を組み人目を避けるように大きく新聞を広げている米国CIA諜報員のTリードの姿があった 。 カタールでも1か2位を争うこの高級ホテルでも最近の緊迫した中東情勢を反映してかロビーは連日大勢の海外メディアや各国要人たちが分刻みで入れ替わるほど渾然一体殺伐としていた 。 「リードさん お電話ですよ 」 とてもボーイには見えないような現地人の大柄な男がタバコをふかしながらじっと新聞を見つめていたリードを呼びにきた リードが新聞を閉じて男を見上げた時にはすでに後ろ姿に去っていった… 「あっ…リードさん二番のボックスへどうぞ 」 フロントの対応は素早かった リードは手にしていた新聞を四つ折りにすると入り口にアラビア数字で二番と書かれた電話ボックスに入っていった 。 受話器を取ったリードの顔が、その一言二言でみるみるうちに焦りに変わっていく …… するとリードは突然に受話器を置くと同時に電話ボックスのドアをおもいきり突っぱね物凄い勢いで叫びながら飛び出してきた 。 「みんな〜逃げろ !!」 それから 5分も経たないうちに この白亜に装飾された由緒あるカタールのホテル「ムスカザール」のロビーは凄まじい爆発音と共に巨大な砂漠の嵐の中に飲み込まれてしまったかのように四方へと粉々に飛び散ってしまった 。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |