貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
磁石。
「…大丈夫?」

肩を揺すられ、耳元で声がした。


気がつくと、そこは黄色い世界ではなく、ほのかにコーヒーの香りが漂う別の場所だった。


「ねぇ、大丈夫?」

意識がしっかりしてきたわたしは、首を縦にこくん、と落とした。


「…具合悪い日は出歩いちゃダメじゃん」


「はい…」と呟き、わたしは声の主を見た。


細い…。

そんな第一印象のすぐ後に、すごく綺麗な顔立ちの人だと気付く。

ハーフかなぁ?
ちょっとくらいはどこか異国の血が混じってそうな…。

まず、男性?女性?

どっちにしても、綺麗な人だなぁ…。




「そんなにあたしの顔が気になる?」


「…あっ、あのっ、ちがっ…!!」
上手く言葉が出て来ない。

「いーのいーの。誰に会っても最初はこうだから」


ニヤッと笑った顔が、あまりにも綺麗で、なんか吸い込まれかける寸前。


「すみま…」
「でもさぁ、あんた、そんなにそれが欲しかったの?」

言葉を遮られて、一瞬ムッとした。
でも、左手の傍に置かれて居る黄色い袋を見て、やっと気付いた。


この人はわたしをここまで連れて来てくれたんだ。

って。

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