《MUMEI》
「へっ…!?」
「図星のようで」
にやけるまきちゃん。
「ちっ、ちがっ!」
な、何でばれたんだ…
「お嬢様、すぐ顔に出されるから」
まきちゃんには敵わないな、ははっ。
「まあ、人生何が起こるかわかりませんし、お見合いは、軽ーい気持ちで向かえばよろしいですよ。社長に惚れるか惚れないかは、お嬢様次第ですからね。」
「おう」
「本当は、お嬢様が一番好きな方と一緒になるのが一番なんですがね…」
「……」
まきちゃんも知っている。それが無理に近いことだということを。
「さっ、できましたよっ」
鏡を見ると、自分の姿が映る。
(…これ見たら、確実に落ちるだろーなあ…なんてね)
「うっし!行くか!」
「いってらっしゃいませ」
まきちゃんに見送られ、あたしは離れの部屋に向かった。
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