《MUMEI》 MP財団会長室 暗い広々とした部屋の中 大きなデスクを背にしながら会長のJクレイトンが後ろ向きに深々と腰を掛けて電話で会話をしている クレイトンの見つめる窓ガラスの景色には広大なアリゾナの砂漠の夕暮れが赤々と照らし出されていた 「……そうですかドクター根元…それは良かった…これでやっと開発の準備が整ったわけですな …やはり世界的権威であられる博士を推薦したわたしの眼に狂いはなかった……では明日ディナーの際に詳しくお聞かせしてもらいましょう 」 J クレイトンはそう言うと一面に広がる赤いアリゾナの夕日を満面の笑みで迎えていた。 MP財団金属加工研究室内 「じゃあ また後でね !」ユカは栄一にウインクして廊下を去っていった 。 栄一がロッカールームに入ると カナダ人研究員のマイク・ゴールドが 先に来て着替えを済ませていた 栄一が入ってくるのに気がついたマイクは なにやらあわてて…携帯電話を切らないままポケットに押し込んだ 栄一は一瞬そのマイクの態度は怪訝な感じがしたが…見過ごすことにした 「やぁ マイク…上手くいったな 」 マイクは荷物を抱えると 「あぁ… これでドクター根元の理論の正しさが 証明されたな栄一…!」 マイクはにこりと頷きながら栄一の肩をポンとひとつ叩いて 出て行こうとしている…… 「ヘイ マイク! これから一緒に食事しないか?ユカも…… ! 」 栄一は口に手をやり手招きをしたが… 「OHーSorry 今から人と約束があるから…また今度誘ってくれよ… 栄一 !」 マイクはすまないといった表情で足早に研究室から消えていった 。 前へ |次へ |
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