《MUMEI》

「ねぇ薫──」

「ん?」

「薫はどっちが好み?」

「どっちって?」

「ルイ君とキラ君」

そう言ったら、薫は小さく噴き出した。

「千佳ってば、それでボーッとしてたんだ」

「だって可愛いじゃん?」

「へぇ〜、千佳、年下が好みなんだ?」

「そっ‥そういう訳じゃないけど‥」

でも、可愛いなぁ、って──。

「千佳、何か恋した乙女みたいな顔してるけど──」

「失礼だなぁ、──私だって恋くらいするわよ」

「ふふっ、執事に恋したお嬢様?」

「なっ‥何言ってんの」

「照れちゃってぇ」

「て‥照れてないもん」

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