《MUMEI》

「あの、お嬢様方──」

「?」

「何?」

「手品はお好きですか?」

「ぇ、手品?」

キョトンとする私達に頷いて、2人は胸ポケットから──トランプとスカーフを取り出した。

「是非、見て頂きたいんですが‥」

「いいですか?」

「もちろんっ。ね、薫?」

「ぇ、ぁ──‥うん」

「それではっ」

「披露させて頂きます!」

気合い十分、といった感じで──2人はスカーフを広げて見せる。

何も仕掛けがない、と確認させると──

「1枚、選んで頂けますか?」

私と薫に、1枚づつカードを引くように言った。

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