《MUMEI》
到着
今日の天気は快晴で


ピークはお盆前だという、砂浜にもそれなりに人がたくさんいた。


…なのに。


「じゃ、準備するか」


一番荷物を抱えた秀さんや、他の男性陣が着々と大きな傘や、折りたたみの椅子・レジャーシート等を広げるスペースが


何故か、空いていた。


「あ、あの…ここって?」


(まさか…)


「うちの、指定席」


(やっぱり)


果穂さんの言葉に、納得する俺がいた。


(変だと思った)


この目立つ集団がやってきた時は人だかりや歓声が沸き起こり、大さんや柊のような超絶美形タイプはともかく


普通にイケメンの部類に入る厳・頼・祐に近付いてくる女性はかなりいた。


それが、この『指定席』空間に入った途端、離れていったのだ。


「やっぱりすごいな高山家」


ポツリと呟いた屋代さんの言葉に俺も深く頷いた。


今日の俺と屋代さんのシンクロ率は、かなり高い。


そこに


「来年は、ビーチバレーできるスペースもいいかも…」


そんな、果穂さんの呟きは


(聞かなかった、事にしよう)


とにかく、今は熱い砂浜と、海を満喫したかった。

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