《MUMEI》
海の楽しみ方
「ところで、今更だけど、祐也は水着着てないけど、どうするの?」


波打ち際に来た時点で、志貴に訊かれた。


ちなみに、今日の志貴は黒いビキニで、普通の男ならかなり刺激的な姿をしている。


(まぁ、このメンバーなら心配いらないよな)


俺は、先に海に入った仲村さんと屋代さん


それに、志貴の隣にいる祐を無意識に見ていた。


「俺も気になってた」


目が合った時、祐が口を開いた。


「ん? 波打ち際で遊んだり、たまに、お前等と水かけ合ったり?
あと、忍のお土産に、綺麗な貝殻見つけたり?
飽きたら近くで砂の城でも作ろうかと…」


(それにしても、本当に波って面白いなぁー、あ、海水って本当にしょっぱいのかな? 舐めたら汚いか?)


「「…」」


海水を味見しようか本気で悩んでいる俺を、二人は無言で見つめていた。


ちなみに、さっき俺が語ったセリフは


ほとんど忍の受け売りだった。





やがて


俺の言葉に、祐は『お前、どこの乙女だよ!』と、ツッコミを入れ、大爆笑し


志貴は、『可愛い…』と、顔を赤くし、俺の髪を撫でた。


…どうやら、また忍にからかわれたようだ。

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