《MUMEI》

 
 二年になると、こんどは友情面での亀裂が起きる。
 なぜこうも、私の周りは離れていくのだろう?

 このころから私は、少し人間不信になり始めていた。
 そして、夜に見る夢が、楽しいものへとなっていく。
 だから、寝ることだけが楽しみで、起きるのが本当に苦痛だった。

 毎朝起きて、学校へ向かい、男子にからかわれ、女子には無視され、帰りの時間も独りで過ごす。
 それでも、体調が崩れない限り、母親に追い出されるように学校へ向かわされていた私には、居場所がなかった。
 毎日が苦痛で、早くこの苦痛から解放されること、それだけを生きがいに学校生活を送っていた。

 そんな私が三年になり、進学する高校を選ばなくてはいけなくなったのだ。

 正直、行きたくなかった。

 またこんな苦痛を味わわなくてはならないなんて、その苦痛を受けに通う学校を自ら選ぶだなんて、進んでできることではなかった。

 とりあえず、今の私の一番の苦痛は、女子からの無視や疎外。
 もちろん、男子からのからかいも苦痛だが、それを助けようともしてくれない女子と、見て見ぬふりを貫き通すクラスメート全員が、私には苦痛だった。

 誰も助けてはくれない。
 誰も、誰も……みんな自分が一番かわいいのだ。
 みんな自己防衛に必死なのだ。

 私は、高校は遠くを選ぼうと考えた。
 この学校の誰もが通わないような、遠くへ。

 そして高校のパンフレットをパラパラ捲っていたときに、たまたま止まったページに載っていた高校にした。

 高校名もそこまで嫌な感じがしないし、写真の校舎も近代的で素敵……。

 私は知りもしない高校に、希望や期待を持ち、入学した。
 入学までに、同じ中学の男子が二人入試を受けることを知って、がく然とした。
 しかし頭を切り換え、別に害になると決まったわけじゃない! と自分に気合いを入れた。

 これから、高校生活が始まる。
 

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