《MUMEI》

2人は片手をスカーフで隠すと、目配せをし合って、スカーフを取った。

「──!」

空っぽだったはずの2人の手には、真っ白な薔薇。

「わぁ‥」

「綺麗──」

「どうぞっ」

「お受け取り下さい♪」

「ありがとう──」

「すっごいね、2人共♪」

「ぁ、ぃ‥ぃぇ──」

「そっ‥そんな事ないです」

照れたみたいに、ホッペを赤くして、2人は言った。

それが、子犬みたいに可愛く見えて──何だかドキッとした。

薔薇を受け取って、夢見心地な気分でいると──薫が私の耳元で、

「ラッキーだね♪」

そう囁いた。

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