《MUMEI》 横を見たら、ヨヅキさんが、凄く安心したみたいに微笑んでた。 「お優しいですね」 「ぃぇ──そんな事ないです」 「?」 「あたしも、頑張っても空回りしちゃってばかりで──。だからあたし、ちょっとだけかも知れないけど‥彼の気持ちが分かるんです」 「───────」 「ヨヅキさん?」 「──お嬢様が居て下さって良かった」 「ぇ?」 あたしがキョトンとすると、ヨヅキさんは新しく紅茶を注いでくれてから、口を開いた。 「今度は、私達がお元気にして差し上げる番」 「ヨヅキさん達が‥?」 「はい」 コクリと頷いて、ヨヅキさんはシュガーポットから角砂糖を取り出して、紅茶に入れてくれた。 前へ |次へ |
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