《MUMEI》

「うん、見た目も可愛いし美味しいし──こんな可愛いパンケーキ初めて」

あたしがそう言った途端。

ずっと不安げだったヒナタ君の表情が、ぱぁっと輝いた。

「ありがとうございますっ」

「ふふっ、それは私の台詞だよ」

「──ぇ」

「ありがと、ヒナタ君」

「お嬢様──」

ヒナタ君は、ちょっぴりほっぺたを赤くしてる。

「喜んで頂けたのなら嬉しいです」

ニッコリと笑った、笑顔。

初めて見た。

ヒナタ君の笑顔──。

「──お嬢様」

「?」

ヨヅキさんだ。

──ヨヅキさんも笑ってる。

凄く、嬉しそうに──。

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