《MUMEI》

ヒナタ君は、あたしが紅茶を飲み終わるのを待ってから、また──

「お注ぎして宜しいでしょうか?」

そう訊いてきた。

「うん、ありがと」

せっかくだから、もう1杯注いでもらう事にした。

美味しいし──。

「ど‥、どうぞっ」

怖々と差し出してくる辺り、ほんとに可愛い。

ヨヅキさんは、見守るみたいにしながら─ヒナタ君を見つめてる。

「‥ぁ、こちら──お下げしても?」

「うん」

そう答えて、カップに口を付けようとした時。

「ぅゎ‥!」

悲鳴が聞こえたと同時に、パリーン、とお皿が割れる音。

「だ‥大丈夫?」

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