《MUMEI》
ラブレター
ガチャン。

ばさっ。

これは学校につくと毎朝聞く音だ。

隼人が下駄箱を開けると必ずラブレターが入っている。

でも流石に漫画のようにはいかない。

そんなにラブレターというものは下駄箱に入らないからである。

2・3通落ちた手紙を拾うと、隼人は差出人の名前を見た。

そして興味なさそうに下駄箱に戻す。

隼人はあまりにモテるので、いちいち1人ずつに返事を返してはいられない。


ので、隼人はあるルールを作った。

これはうちの中学の女子の半分以上が知っていることだけど、男子で知ってるのは半分居ないかな…。

隼人が作った、ラブレターを出す女子用ルール

その1・ラブレターには必ず外側に自分の名前(女子)を書くこと。

その2・ラブレターは必ず下駄箱に朝入れておくこと。

その3・いらない(フったということ)ラブレターは下駄箱に戻しておくから各自で出した人が結果を見に来ること。

女の子が可哀相な気がするけど、仕方ない。

隼人はモテるのだ。

去年のバレンタインデーはバレンタインチョコを貰いすぎて、僕が半分持って隼人の家まで運んだ。

隼人と僕は今中学二年だけど、隼人は他学年にも人気がある。

あ、そうそう。
去年のクリスマスなんて酷かった。

隼人は僕の家に遊びに来てたんだけど、いきなり何十人っていう女子が押しかけて来て、

『山本くんとどういう関係なのっ』

って責められた。

まぁでも、隼人が女子達を追い返してくれたけど…。

モテすぎるってのも考えものだ。

『翼、そういえば今日俺とお前掃除当番だぞ』

『あれ?今日だったっけ?』

うちの学校は少し変わっていて、月に1度、掃除当番の人が残って教室の掃除をしなければならない。
なんて決まりがある。

『面倒くさいな…』

『サボるか?』

『誰がサボるって?』

『だーよな。優等生・翼くん』

隼人は僕の頭をくしゃくしゃっと撫でた。

『たく…だから成績上がんないんだよ。隼人はぁ〜』

『ははは。まぁ何とかなるさ』

隼人はそう言って笑った。

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