《MUMEI》 「でも──」 「大丈夫です」 そう答えたヒナタ君は、凄く──頼もしく見えた。 ビクビクした様子は、もうない。 何だか、あたしも頑張らなきゃ、って思った。 「──よしっ」 「お嬢様?」 「あたしも頑張ろーっと♪」 「──ぇ」 「ヒナタ君に、負けてられないもんね」 「──ぇ、ぼ‥僕にですか?」 「うん」 「ぁ‥、ええとっ‥」 ヒナタ君は、戸惑ったみたいで──でも、嬉しそうだった。 そんなヒナタ君を見つめるヨヅキさんの眼差しは、何だか──弟を見守るお兄さんみたいな感じがした。 前へ |次へ |
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