《MUMEI》

「おっ。
また来たか。」








日曜日。


いつものように伯父の家に遊びに来た翔太。


「今日は誰かいないの?」


「いや。
俺だけだよ。」


「ふ〜ん…


じゃあ伯父さんでいいや。


相手してよ。」


「ああ。
何がいい?」


「そうだな…
将棋は?」


「いいぜ。」







ゲームを始めて10分も経たない内に、


「…負けました。」


翔太が負けを認める。


「何だ?
えらい早く見極めがつくようになったな。」


「…何手先までかは読めるようになったけどさ、


伯父さんの手がわかるのに、


攻略法がまるで見つからない。


これ以上やったところで無駄だよ。」


「ほ〜。


手が読めるようになったか。


いつからだ?」


「ちょっと前。


4年生になったらクラブ活動が始まってさ。


俺はドッジボール部に入ったけど、


将棋部もあって、


それで、


6年生の将棋部の部長の奴が自分は強いって勘違いしてて、


うちのクラスの奴をいじめてたらしくて、


俺が負かしてやった。


そん時にやってみたら、


普通にできた。


伯父さんは毎回スタイルを変えてくるから読みづらいけどね。」

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