《MUMEI》

お皿の破片がすっかり片付いて、ヒナタ君はホッとしたみたいだった。

ヨヅキさんも、そうみたい。

ほんの少しカップの底に残ってた紅茶を飲んでから、席を立とうとすると──

「ぁ‥、お出かけになられますか?」

ヒナタ君が椅子を引いてくれた。

でも、緊張してたのか、椅子がガタッと傾きかけて──‥でも、ヨヅキさんがそれを支えてくれた。

やっぱり、2人はいいパートナーみたい。

「ぁ、そ‥それでは、コートを──」

ヒナタ君は小走りに駆けて行って、途中躓きそうになりながら──ラックからコートを持って来てくれた。

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