《MUMEI》

「翔太!!
どこ行ってたの!?」


「…別に。」


「別にじゃないわよ!!


あんた6年生の子にケガさせたの黙ってたでしょ!?


お母さん謝りに行って来たのよ!?」


「…向こうが先に手出してきたんだよ。」


「だからってケガさせていいわけないでしょ!?


お母さんそんな子に育てた覚えないわよ!?」


「はぁ!?」


母の言葉に翔太はキレた。


「育てた覚えはないなんてよく言えるね!?


運動会にも授業参観にも来たことないし、


晩ご飯も冷凍食品かコンビニの弁当!!


俺がケンカしたのなんて何日前の話だと思ってんだよ!!


その日に電話来たっつ〜の!!


普段家にいないから知るの遅れたんだろ!?


あんたが帰って来た時には俺はとっくに寝てるし!!


いつ話せばい〜んだよ!?


俺のこと育てた覚えはない!?


当たり前だろ!!


育ててもらってね〜もん!!


俺が何クラブに入ったか知ってる!?


言ってみろよ!!」








溜まっていた思いが、


一気に溢れだした。








「バンッ!!」


「翔太!!」








家を飛び出す翔太。


言葉だけでは足りない思いが、


涙となって溢れだしていた。

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