《MUMEI》 由梨と私は、学年中が知っているほどの“仲良し”になっていた。いや、実際は一緒にいるだけで、私的には仲良しじゃないのだけど……。 なんか、由梨と私が一緒にいないのがおかしいほど、セットという認識になっていたらしく、あるとき私が由梨に対しぞんざいに接していたら、一番好きだった“友達”に、「喧嘩したの?」と言われてしまった。 なんだか……ショックだった。その“友達”は、もう私を“友達”と認識していないようで、私は由梨という“友達”を手に入れた代償に、たくさんの“友達”を失った。 それもきっと、私が悪いんだ。きっとあのとき、もっと由梨を嫌っていたら、私は彼女たちを失うことはなかっただろう。 例の私が好きだった奴と由梨は、付き合うことになったらしい。 奴の必死なアプローチの結果だとか……。 由梨は、私に言っていた。 「そこまで好きじゃないんだよね。だけど、告白してくれたから、キープしといたの」 笑いながらそう言う由梨に、私は笑いながら呆れていた。 なにこいつ……奴は、由梨のどこが好きなんだ? 奴と由梨が付き合ったことを知らされたとき、そのときが、私を最高に狂わせた瞬間だった。 もちろん、付き合う事態にショックを受けたのもあるが、或ることが私をまた、人間不信に陥らせる。 前へ |次へ |
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