《MUMEI》

それから、


翔太が両親と会話を交わすことはほとんどなくなった。


『おはよう』


『行ってきます』


『ただいま』


『おやすみ』


当たり前のような挨拶さえも、


翔太が言うことはなくなっていた。


それからさらに2年が経ち、


翔太は小学6年生になっていた。








「もうすぐ中学生だな。」


「あぁ。」


「嬉しくないのか?」


「…別に。」


「卒業式は?」


「来週。」


「そっか…
兄貴も楽しみにしてんだろ〜な。」


「なわけね〜よ。
どうせ来ね〜から。」


「そうか?
そんなことないとおも…」


「もういいから。
早くやろ〜よ。」


「…ふぅ。


しょうがね〜な…


今日は何がしたいんだ?」


「なんでもい〜よ。
今なら何やっても互角に戦えるし。」


「ま〜た生意気言いやがって…


誰のおかげで強くなったと思ってんだ?」


「そりゃ伯父さんのおかげだけど、


勝負には関係ね〜よ。」


「全く…
俺が小学生の時はもう少し可愛げがあったと思うけどな…」


「時代だろ。」

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