《MUMEI》
PraisirZ
「ぅぅ‥っ、寒〜」

何だか、今日はやけに寒い。

私、藤村千乃は、バイト帰りのいつもの道からちょっと外れて、寄り道をしてた。

でも──着慣れない道で、どうやら迷ったみたい‥。

ちょっと前までは、まだ我慢出来る寒さだったのに、今はとてものんびり歩いていられるような感じじゃない。

何かあったかい物でも飲みたいなぁ‥。

でも──近くに喫茶店なんかないし‥。

トボトボと、肩を縮こまらせて歩きながら、私は白い息を吐いた。

「‥ん?」

あの建物──何だろ。

風凌ぎにはなると思って、取りあえず、入ってみる事にした。

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