《MUMEI》

「味──どないですか?」

「丁度いいよ。甘さも──」

「何よりですわ、笑うてくれはって」

「?」

「ぁ、すんまへん──つい嬉しなってもうたもんで」

「嬉しい?」

「せや。俺は──お嬢様が笑うてくれはるんが、喜んでくれはるんが、何より嬉しいんです」

「───────」

そうなんだぁ‥。

だから、こんなにも安心するんだ。

こんなにも、幸せになれるんだ。

「ハルキさん」

「どないしはりました?」

「私にも──今度教えてもらえませんか、この‥カフェアートの作り方」

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