《MUMEI》

「お嬢様? どないかしはったんですか?」

「──ぇ、ぁ‥、ぃぇ、何‥でも‥ないです」

反射的に顔を上げたら目が合って、咄嗟に顔を伏せた。

──ヤバい。

ヤバいんですけど‥。

「ほんまに大丈夫ですか‥?」

そう訊かれたけど、正面に答えられない。

──どうしよう。

とか思ってたら。

「‥ぇっ」

何か‥近くない?

「ぁ、あの‥ハルキさ‥」

「──みんなには内緒に頼んます」

耳元で囁かれて、思わずカップから手を離しそうになった。

でも、内緒にって──何を?

「──!?」

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