《MUMEI》

一瞬だった。

けど、まだ感触が唇に残ってる。

ていうか、こんな事しちゃっていいの‥?

「──ぁ」

だからさっき、ああ言ったんだ‥。

みんなには内緒に、って。

──にしても。

ビックリした‥。

「ぁ‥すんまへん、嫌やったですか?」

「ぇ、ううんっ」

そんな事、全然ない。

むしろ嬉しい。

ビックリしたけど──。

「ありがとう」

「ぇ」

「嬉しかったから」

そう言ったら、ハルキさんはまた、にぱっと笑った。

「おおきにっ」

そう言ってハルキさんが私の手を握ってきた。

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