《MUMEI》

***

「ハルキ、何かいい事あった?」

「ぇ?」

「何か、そんな気がしてさ」

「うん、ええ事あったで?」

「ぇ、どんな?」

「それは秘密や」

そう言うたら、ルキアはちょっと拗ねてもうた。

「教えてくれたっていいのに──」

「言わんかて──分かるんちゃう?」

「‥ぁ、もしかして?」

「その『もしかして』や」

「わぁ、良かったねっ」

むっちゃ嬉しそうに笑うルキア。

「僕も恋してみたいな──」

「ぇ?」

「ぁ‥ううん、何でもないっ」

「?」

今──恋してみたいとか言わへんかったか?

──言うたよな?

ルキアやったら、間違なく出来ると思う。

俺は知っとるもん。

こいつは、むっちゃええ奴や、て──。

***

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